バイトでもブラック企業と闘える! すき家スト騒動は本当に不発? 2014.07.04
http://lite-ra.com/2014/07/post-195.html (本文)
今年3月頃から閉店中の店舗が目立ち、5月末にはアルバイトによる「ストライキ」騒動にまで発展した大手
牛丼チェーン「すき家」。騒動の背景にあったのはバイトの一斉退職、通称「鍋の乱」の存在だ。
他の牛丼チェーンでは1店舗につき2名以上の店員を配置するが、すき家では経費削減のため、業務をバイト
1人だけで行う「ワンオペレーション(ワンオペ)」が主に深夜帯で常態化していた。これが作業負担の大きい
「牛すき鍋定食」の発売と重なり、反感を買ったという。
報道によると、結局騒動による閉店はなく、千葉県の食肉加工工場でのたった1名のアルバイトによるストに
終わったようだ。匿名の呼びかけがSNSで拡散され大騒ぎになったものの、フタを空ければ大規模な労働運動に
ならなかったことから、メディアは愉快犯的側面を指摘していた。しかし、これは本当に空騒ぎだったのだろう
か。“1人スト”は何の意味もないのだろうか。
そもそも労働組合の多くは、いわゆる「企業組合」だ。団体交渉をしたこともなければ、ストという「伝家の
宝刀」を抜いたこともない、事実上の「御用組合」となっているケースもままある。また、内規で正社員以外の
加入が制限されている場合も少なくない。
そこで注目を浴びているのが、1人でも加盟できる合同労組やユニオンである。前述の工場ストも、千葉県の
合同労組の加入者によるものであった。
法的に正当なストを行うためには、事務手続きやスト権確立の投票などが必須。法律知識もある程度必要とな
る。しかし個人加盟の労組に所属すれば、専門家たちの協力により、合法的な労働運動への敷居がぐっと低くな
る。
こうすることで1人からでもストは実行できる。だがその場合、効果はそれほど高くないという意見もあるよ
うだ。であれば支援を受けつつ、バイト仲間で組合を結成するのはどうだろうか。結成自体は通常2名以上の仲
間がいればできるとされている。
『「生きる」ために反撃するぞ! 労働&生存で困ったときのバイブル』(雨宮処凛/筑摩書房)のなかには、
2008年神奈川県のガソリンスタンドで打たれたバイトによる運動の模様が詳述されている。
労働時間を減らされた男性アルバイト(当時26歳)は、「フリーター全般労働組合」に相談。バイト仲間とと
もにユニオンを結成し、会社に通知した。ところが3日後、バイト全員へスタンドのセルフ化を理由とした「解
雇予告通知」が届く。彼らは団体交渉を申し入れ、ストに突入した。「アルバイトなんだから仕方ないだろ!」
と言う店長。男性はこのように語っている。
「法律でも、アルバイトとかそんなの関係なく労働者は労働者として権利がありますし、アルバイトだからしょ
うがないと使い捨てるような会社が、正社員をマトモに扱っているかと言えば、そんなことはない」
「ブラック企業」という言葉に明確な定義はないが、近年では正社員を使い捨てる企業というニュアンスで用い
られる傾向にある。企業は「ブラック」という風評を回避するために、労働環境改善の取り組みや正社員への福
利厚生の充実などを表向きは行ってきた。そのしわ寄せが、かねてから流動的な労働者であった非正規雇用に向
かってきているという見方もできる。
続く